Topic17 Notesの世界だけで飛ぶメール?

 

さて、この連載も早いもので第9回になりました。Dominoサーバーの稼働確認やログ、ユーザー管理から話が始まって、前回までは3回にわたって複製についてお話しました。

 

続いてのテーマは「メール」です。

 

新任太郎「メールなんて、何もしなくても勝手に送信されて、届くんじゃないんですか」

 

確かに多くの新任Domino管理者にとって今の自社のNotes環境は「既にできあがったもの」として提供されるので、メールの送受信も当たり前にできてしまっているでしょう。しかし、実際はいろいろと先人たちが設定したおかげで今のメール環境がある、ということを忘れてはいけません。

 

例えば、NotesメールとSMTPメールの違いはわかりますか?

 

新任太郎「メールって二種類あるんですか?」

 

Notesの世界ではそうなのです。たとえばあなたが同僚のBさんにメールを送信する場合、宛先にはどんな文字列が入っていますか?

 

新任太郎「『Taro Hakozaki/hogehoge』」です。」

 

では、その文字列を自宅のメーラーの新規メール作成画面に入力したら、Bさんにメールは届きますか?

 

新任太郎「届くのかなぁ。。あ、よくよく見るとメールアドレスとしては変な文字列ですね、これ。ただのユーザー名だ」

 

その通りです。通常、メールの宛先というのは「taro-hakozaki@hogehoge.com」のようになっていますね。しかしNotesの世界では、その形式でなくても、Notesユーザー名を宛先にしてメールを送ることができる。これをNotesメールと呼びます。

 

新任太郎「Notesの世界の中だけでやり取りされる形式ということですね。え、じゃあNotesサーバーはインターネットの世界とメール送受信できないんですか?YahooとかGmailにはメールを送れない?」

 

そうではなく、そちらのメールのことは便宜上、SMTPメールという呼び名で呼びます。SMTPメールについては次回詳しく教えますが、まずはNotesメールについて理解していきましょう。

 

 

 

Topic18 Notesメールが配送されるまでの道のり

 

確か、新任太郎さんの会社では本社とシンガポール支社それぞれにDominoサーバーがありましたね?

 

新任太郎「はい。それぞれメール用のDominoサーバーも配置されていたと思います」

 

では、本社ユーザーがシンガポールユーザーにメールを送信した場合に、どのようにメールが配信されるか見ていきましょう。

 

新任太郎「送信元のメールDBから直接、相手のメールDBにメールが入るんじゃないんですか」

 

実はそこに至るまでにいくつかの配送経路と、サーバーの判断が入っているのです。メールの配送の順番は以下の通りです。

 

 ①本社ユーザーAがメールを送信

 ②送信したメールはいったん、本社サーバーの「mail.box」というDBに入る

 ③Routerタスクがそのメールを見つけ、宛先のユーザーがDominoディレクトリに存在するか確認する

 ④存在する場合、ユーザー文書のホームメールサーバーの値をみて、どのサーバーにメールDBが置かれているか確認する

 ⑤ホームメールサーバーにメールをリレーする(ここではシンガポール)

 ⑥シンガポールのサーバーの「mail.box」にメールが到着する

 ⑦Routerタスクがそのメールを見つけ、宛先のユーザーがDominoディレクトリに存在するか確認する

 ⑧存在する場合、ユーザー文書のホームメールサーバーの値をみて、どのサーバーにメールDBが置かれているか確認する

 ⑨ホームメールサーバーは自分自身(シンガポールサーバー)のため、今度はユーザー文書のメールファイル名の値をみて、そのパスにあるDBにメールを配送する

 ⑩シンガポールユーザーBがメールを受信

 

 

 

 

新任太郎「すごい、ただメールを送受信するだけなのにこんなに手順を踏んでいるんですね」

 

はい。実はこのようにメールを配送させるためには、事前に本社のサーバーとシンガポールのサーバーでメールをやり取りできるように設定をしておかなければいけません。

 

その設定方法は大きくわけて2通りあります。2つのサーバーを同じ「Notes名前付きネットワーク」に所属させるか、接続文書でつないであげるか、です。

 

 

Notes名前付きネットワークは、Dominoディレクトリのサーバー文書のポートタブに記載されています。ここに書いてある名前が、本社とシンガポールで一致していれば、それだけでメールを送受信しあうことができます。

 

 

新任太郎「今、うちの会社のDominoディレクトリを見てみましたが、同じNotes名前付きネットワークに所属しているようです」

 

それはシンプルでよいですね。もしそれが違っていた場合は、本社→シンガポールへの接続文書と、シンガポール→本社への接続文書を2つセットで作らなくてはいけないんですよ。

 

 

 

新任太郎「そんなの面倒なので、全部同じNotes名前付きネットワークにしてしまえばいいんじゃないですか」

 

そうかもしれません。しかし例えば大規模環境の場合、メールサーバーだけで何十台もDominoサーバーが存在するケースがあります。この時、それぞれのサーバーがそれぞれに対して直接メールを配送してしまうと、回線が輻輳したりと、不都合がでることがあります。

 

このような時に、お互いが直接メール送信せず、決まった中継サーバーを経由してメールを配送させるようにしたくなりますが、そのために使うのが接続文書によるメールリレーの設定なのです。

 

新任太郎「メールの経路をより細かく定義するために必要、という理解でよろしいでしょうか」

 

その通りです。今日は余計なツッコミをいれずに説明できて非常にやりやすいです。

 

新任太郎「余計なやり取りを増やすと、読者が混乱するかと思いまして」

 

ありがとうございます。とはいえ真面目な話ばかりで読みつかれたと思いますので今日はこの辺で。ではまた次回。