Topic11 複製って何?

 

これまで、サーバーの稼働の仕組みやユーザー管理系の話を中心に書いてきましたが、今回から数回にわたってのテーマは、「複製」です。

 

そもそもDominoの世界でいう複製とは何でしょうか。

 

例えば、複数の支社がある会社を想像してみます。東京に本社があり、シンガポールに支社がある。本社と支社でそれぞれDominoサーバーを保有している、というようなケースです。

 

東京本社のスタッフ部門が全社のお知らせ文書を、とあるNotes DBの掲示板に登録した。それをシンガポール支社の社員にも閲覧させたい。しかし。シンガポールのユーザーが東京のサーバーに直接アクセスすると、回線がそれほど太くないためレスポンスが悪い。このような場合に有効なのが複製です。

 

まず、お知らせを登録したNotes DBのレプリカを、シンガポールのサーバーに作成します。レプリカとは、要するにまったく同じDBをシンガポールのサーバーにも置くと考えてください。その上で、東京とシンガポール間でそのDBを定期的にデータ同期します。これを「定期複製」と呼びます。

こうしておけば、シンガポールのユーザーは、毎回東京にアクセスせずに、シンガポールの環境内で掲示板DBを参照することができ、良好なレスポンス下で東京本社からのお知らせを確認でききます。

 

 

 

 

新任太郎「うちの会社でもその機能を使っているようなんですが、先日、シンガポールの社員から、最新のお知らせが見えませんという問い合わせがありました。しばらく待ってもらったら見れたようなんですが、いつ複製されるかはわからないんでしょうか」

 

定期複製はサーバーで動作する、つまりサーバーの設定ということです。そういった情報はどこに入っているか、以前教えましたよね?

 

新任太郎「そうか、Dominoディレクトリ、いわば公開アドレス帳、すなわちNABですね!」

 

わざわざ色んな呼び名を使わなくて結構。その通りです。試しにDBを開いてみてください。左のナビゲータにある「設定」‐「サーバー」‐「サーバー接続」のところにある「サーバー接続文書」から設定を見ることができます。

 

 

新任太郎「あ、うちのDBの場合は1時間間隔で同期しているみたいです。なーんだ、だからしばらく待つだけで解決したんですね」

 

 

Topic12 複製にも種類がある

 

新任太郎「先生、大変です。先ほどまたシンガポールの社員から電話がかかってきたんですが、最新のお知らせを今すぐ見たいから何とかしてくれ、と言われてしまいました。一時間待てないそうなんですが、どうしたらいいでしょう」

 

なるほど。定期複製が待てないのですね、では手動で複製してみましょう。

 

Domino Administratorを起動して管理者IDでログインしてください。「ファイル」‐「サーバーを開く」から東京のサーバーを選んで接続し、それから「サーバー」タブ‐「ステータス」タブを開きます。開いたら、左のナビゲータから「サーバーコンソール」を開いてください。

 

新任太郎「あ、これはいつか見たログが流れるウィンドウですね」

 

その通りです。ここにある「IBM Dominoコマンド」欄に以下のコマンドを入力して実行してみてください。

 

 >push Serverxx hogehoge.nsf

 

Serverxxはシンガポールのサーバー、hogehoge.nsfはお知らせの掲載された掲示板DBのパスに読み替えて実行してください。

 

 

 

実行したら、「○文書追加しました」のようなメッセージが出るので、そしたらもう一度シンガポールの社員に掲示板を見てもらってください。

 

新任太郎「今電話してみたら、お知らせが見れたそうです!すごい、手動でも複製できるんですね」

 

えぇ。ちなみに今のは東京からシンガポールへデータを「送る」だけのコマンドです。逆に、シンガポールで更新した内容を受け取りたい場合は、以下のようなコマンドになります。

 

 >pull serverxx hogehoge.nsf

 

お互いの更新を相互に反映したい場合は、以下のコマンドです。

 

 >rep serverxx hogehoge.nsf

 

 

新任太郎「東京からシンガポールにPUSHするのと、シンガポールから東京にPULLするのは、同じ意味ですか?

 

結果的に矢印の向きは同じなので、そういう意味では同じです。ただし、コマンドを打つ「起点」となるサーバー側のログに、複製の結果が残るのでその点は注意してください。先ほどの例の場合、前者は東京のサーバーに、後者はシンガポールのサーバーに複製結果がログとして記録されます。

 

新任太郎「たかがデータ同期するだけなのに、いろいろ法則があるんですね」

 

そうなんです。根気よく覚えていきましょう。

今回はこの辺で。ではまた次回。