第7回 Domino Lounge(東京開催)開催レポート

2026年10月15日(火)13:30~17:30/オンライン(WebEx)開催/ノーツコンソーシアム

2026年10月15日、ノーツコンソーシアム主催の「Domino Lounge Tokyo」10月の活動をオンライン(WebEx)で開催しました。
通算第7回となる今回は、HCL 様による最新情報(Domino Workspace と Domino REST API)、CData 様による「AI は Domino のデータをどう理解しているのか」というテーマのセッション、名古屋からのテーマを題材にした連動企画ディスカッション、そして Domino 14.5.1 と Nomad Web の検証報告という充実の内容でした。

当日のアジェンダ
  • 前回(第4回 Domino Lounge(東京開催))の振り返り
  • HCL Time:最新情報(臼井様)
  • CData 様セッション「AI は Domino のデータをどう理解しているか~MCP の仕組みとトークンコストの勘所~」(杉本様)
  • Domino Lounge 連動企画:ディスカッション
  • Domino 14.5.1 と Nomad Web の検証報告

1. 前回の振り返り


冒頭では前回開催分の振り返りを行いました。
HCL 様からは来年登場予定の Domino 14.5.2 のロードマップ(MCP 対応やポスト量子暗号の組み込み)に加え、14.5.1 FP1 のリリースにより RAG がリモートモードでも利用可能になった点、Nomad・Verse・Domino REST API の継続的な進化について紹介がありました。
また OSK の小宮理事による Copilot Studio を使った Domino REST API 経由の AI エージェント呼び出しのデモ、Notes Client と Nomad Designer の検証結果共有、バージョンアップ頻度やクラウド移行のポイントについてのディスカッションが行われました。
前回の詳細はノーツコンソーシアム公式ブログの「第4回 Domino Lounge Tokyo 開催レポート」をご覧ください。

2. HCL Time:最新情報(HCL 臼井様)


2-1. 新商材「Domino Workspace」について

9 月にパートナー向けに発表された新商材「Domino Workspace」について紹介がありました。
米国 CLOUD Act などの文脈も踏まえ、「セキュリティを重視する組織に、管理権限を手放すことなくモダンなコラボレーションに必要なすべてを提供する」ことをコンセプトに、オンプレミスのコンテナ環境で提供される製品です。

構成は、基本となる「Communicate」(ホームページ・メール・カレンダー・連絡先・チャット・ミーティング・Forms・Files・Domino IQ のメール返信機能など)に、アドオンの「Collaborate」(オンラインの Office スイート、グループカレンダー、タスク管理、ボード等)を追加できる形で、Domino・Connections・OnTime などのパートナー製品を組み合わせてコンテナでひとまとめに提供します。

既存の Notes/Domino ユーザーへの影響
Domino Workspace は既存の Notes/Domino ユーザー向けの移行先ではありません。ただし、Domino Workspace で新たに実装された機能のうち有益なものは、既存 Domino の今後のバージョンにフィードバックされる方向性があり、その代表例が Google ドライブ / OneDrive のようなファイル共有機能「Domino Files」です。将来的に既存 Domino 向けにもアドオン提供される予定とされています。

2-2. Domino REST API の概要と設定

続いて、バージョン 12 で追加された Domino REST API の概要と管理 UI の設定方法が紹介されました。要点は以下の通りです。

  • REST API の機能をインストールしただけでは NSF は自動公開されず、「スキーマ」でどの NSF のどのフォーム / ビュー / フィールドを公開するかを細かく設定する(読み取り専用・書き込み専用・読み書きなどの単位で制御可能)。
  • 公開設定に対して「スコープ」を作成し、外部アプリケーションからのアクセス権限の上限(デザイナー権限まで、リーダー権限まで等)を管理する。1 スキーマに複数スコープ、1 スコープに複数「アプリケーション」を関連付け可能。
  • Swagger UI(OpenAPI v3)が付属しており、Notes/Domino の知識がない開発者でも仕様を確認しながら利用できる。認証はユーザー ID / パスワードで Bearer トークンを取得し、それを使ってデータを読み書きする。
  • データの読み書きだけでなく、ACL / ロール管理、DXL による設計要素の読み書き、さらには REST API 経由での NSF の新規作成(今後の Live Studio につながる機能)も可能。
  • 「アプリケーション」を定義すると OAuth フローを利用でき、外部 Web アプリから Domino のログインフォームで認証させて、ユーザー自身の権限でデータを参照するようなアプリケーションを構築できる。

「Notes の世界と外部アプリケーションをつなぐ橋渡しの口」という表現が印象的でした。また、AI がアプリケーションを構築する時代には、この REST API 経由で NSF を操作する流れが加速していくという指摘もありました。Domino REST API は CCB ライセンスに含まれており、サブスクリプション更新中のお客様は追加設定のうえ自由に利用できます。

3. CData 様セッション:「AI は Domino のデータをどう理解しているのか ~MCP の仕組みとトークンコストの勘所~」(CData Software Japan 杉本様)


CData Software Japan のリードエンジニア / エバンジェリストである杉本様より、MCP(Model Context Protocol)を使った Domino データ活用について、デモと内部仕組みの両面から解説いただきました。

3-1. 課題とソリューション全体像

Domino 環境では業務ごとに数多くの NSF アプリが稼働しており、「目的の情報がどのアプリにあるのか分からない」という課題、さらに NotebookLM 等へのデータ投入ではアクセス権限が引き継がれない・更新のたびに手動での作り直しが必要という課題が紹介されました。

これに対し CData では、MCP プラットフォーム「CData Connect AI」を提供しており、M365 Copilot や Claude などの AI アプリケーションから Domino のデータを参照可能にします。約 300 種類のデータソースに対応し、Domino REST API のスコープ / スキーマを横断した処理、ユーザー権限の紐付け、全文検索サポートなどの機能改善も進められています。

構成は「M365 Copilot(MCP クライアント)→ CData Connect AI(MCP サーバー)→ Connect ゲートウェイ → Domino REST API」という形で、閉じたネットワーク環境でもゲートウェイを設置することでファイアウォールを開けずにセキュアに接続できます。デモでは「白樺電機さんに関する案件の情報を調べて」という自然言語のリクエストに対し、AI がデータを探索して受注状況や金額を一発で回答する様子が披露されました。

3-2. AI がデータを「探し当てる」仕組み

重要な前提として、LLM は事前学習データしか知らず、ユーザーの業務データは何も知らない状態から始まります。デモの回答は「知っていた」のではなく「探し当てた」結果です。AI は以下の段階的なプロセスでデータにたどり着きます。

  1. カタログの把握:Get Catalogs ツールで接続先(権限情報付き)を特定
  2. スキーマ / オブジェクトの探索:Domino のスコープに相当するスキーマ、フォーム / ビューの一覧から「案件」「商談」などの目的の箱を推測
  3. カラム(フィールド)の把握:店名・取引先・金額・承認状態・起票日・担当者などの項目を確認し、質問に答えられるか判断
  4. データのクエリ:CData Connect AI のデータ仮想化レイヤーで SQL が組み立てられ、「2026 年 4 月 1 日以降に起票されたデータのみ」といった条件付きで Domino REST API にリクエスト
  5. 回答の生成:結果をコンテキストに取り込み、ユーザーへ回答

このプロセスはすべて Domino の ACL を通じて実行されるため、REST API で公開されていても権限のないデータにはアクセスできません。また、Q&A では「アプリ名・フォーム名・フィールド名は重要か」という質問があり、日本語名にマッチする命名の方が回答精度が上がること、用語集(外部コンテキスト)の定義やビューでのラベル付けで名前の揺らぎを吸収できることが紹介されました。全文検索機能を使えば添付ファイルの中身も探索対象にできます。

3-3. トークンコストの勘所

  • 集計・フィルタリングは LLM の外側で:LLM 自身に集計させるとコンテキストを大量消費し精度も落ちます。CData Connect AI のデータ仮想化レイヤーで SQL 集計すれば、1,200 件の集計が 8 件の結果として返り、トークン消費を抑えつつ精度が上がります。
  • クエリ結果とリッチテキストに注意:ツール定義やメタデータ探索より、クエリ結果やリッチテキストの方がトークンが膨らみやすい。
  • 添付ファイルは段階的に:いきなり添付ファイルを処理させるのではなく、まず全文検索などで候補を絞り、必要と確認できたファイルだけを読み取るのが最もトークン効率が良い。

なお、杉本様は 2024 年に Domino REST API の使い方を解説したブログ記事も公開されています。
また、HCL DominoがオンプレのままでもAIが活用できるというこちらの記事も参考にしてください。

4. Domino Lounge 連動企画:ディスカッション「AI 導入状況」


9 月開催の Domino Lounge Nagoya から寄せられたお題「自社での AI 導入状況と活用業務」について、参加者でディスカッションしました。

主な共有内容

  • 企業として正式導入している例として、M365 ライセンスに付属 / 有償の Copilot、社外向けチャットボット、レコメンデーション・検索機能などが挙げられた。有償 Copilot にすることで Office アプリとの連動が可能になり、全社配布している企業も。
  • 開発部門では Claude が配布され、基幹システム(C 言語 / Java / RPG)、Notes の LotusScript、XPages の試行などに活用。コード生成以外に設計書レビューやテストケース作成にも利用。
  • 勝手な AI 利用を禁止し、利用申請を必須とする企業や、国内のAIベンダーとライセンス契約を結び、データ漏洩のない閉じた Chat AI を導入している企業もある。ガイドライン整備や「Web 検索・AI 検索を使わず回答させる」などの運用ノウハウも共有された。
  • 属人化対策として、定期的な社内説明会・勉強会での知識共有が有効との意見。マニュアルは「作って、見ながら話す」ことが大事で、AI 活用事例まで AI に作らせてしまう本末転倒な状況への警鐘も。
  • 今後 AI にやらせたい業務として「データの整合性チェック」「用語の統一(株式会社表記のゆらぎなど)」が挙がり、検索基盤の品質向上に直結するとして盛り上がりました。
  • オンプレでの Domino IQ 導入については、GPU の調達がネックになるためリモート LLM モードの検討、Domino IQ 用の専用サーバー構成、FP1 のローカルモードなら CPU 実行も可能(ただし検証用)といった実践的なアドバイスが交わされました。

5. Domino 14.5.1 および Nomad Web の検証報告


最後に、ノーツコンソーシアムが会員向けに提供している「お試し環境自動生成」機能を紹介しました。コンソーシアムポータルから申し込むと、AWS 上に Domino 14.5.1(日本語 Language Pack、Nomad Server 1.0.18、Domino Designer / 管理クライアント込み)の検証環境が自動構築されます。FP1は未提供

  • 環境は 1 日限りで自動削除(AWS の稼働コスト対策)ですが、翌日以降も新規申し込みで再度利用可能。ファイルの持ち込み(1GB まで)にも対応しています。ただし、ファイルの持ち出しは出来ません。
  • Domino Leap 1.0.11 の動作検証:Leap にも Swagger UI が備わっており、フォームごとに List Record(一覧取得)/ Retrieve Record(1 件取得)などの REST API を Try it out で実行して JSON の構造を事前確認できる。外部プログラム開発時のリクエスト URL と JSON サンプルの確認に非常に便利。
  • Nomad Web の検証:Notes クライアントと見た目・操作感がほぼ同じで、編集・ダイアログ・Esc キーでの閉じる操作なども自然に再現。初期起動時に Chrome でうまく動かない場合は Edge / Firefox やプロファイル分けが有効。注意点として、DJXメールのあて先はまだ Nomad Web 未対応(Verse は対応済みのため今後に期待)。
  • お試し環境には Domino IQ は含まれない(LLM の外部接続を制限しているため)ものの、14.5.1 の各種機能評価には十分活用できます。社内にテストサーバーを立てられない場合の検証にぜひご利用ください。

6. 今後のイベント案内


  • Domino Lounge Osaka(通算第 8 回):11月27日に開催。リモート参加も可能です。アジェンダは募集中なので、登壇希望もぜひ。
  • Domino Hub 2026 Osaka:11 月 11 日開催。基調講演、パートナー / スポンサーソリューションのミニセッション、Notes アプリを使ったリアルタイムアンケート、展示ブース、個別相談ブース、懇親会を予定。
  • ユーザー情報交換会 in 神戸:11 月 12 日開催。ユーザー企業様中心のセッションで、理化学研究所 計算科学研究センターにて実施予定。Domino Hub Osaka と併せて 2 日連続の Domino イベントです。

7. 今回の講演資料


また、今回ご発表いただいた皆様の資料は以下にまとめてあります(ノーツコンソーシアム会員限定)。
2026年 第7回Domino Lounge 東京開催 資料

Domino Lounge 東京は本年(第 7 回)をもって終了しました。ご参加いただいた皆さま、登壇者の皆さま、ありがとうございました。来年度も開催を予定しています。まずは来月の Domino Lounge Osaka にぜひご参加ください。

ノーツコンソーシアム